今日は先日の記事、挑戦!米国大陸(ニューヨーク編Ⅳ)の続きです。
ニューヨーク生活も3日目を向かえ、早口のニューヨーク英語にもそろそろ慣れてきた頃、いつもの様にオノボリ東洋人は街を散策しておりました。
滞在ホテルから程近い所にRADIO CITYがあり、
“オォ~、これが有名なラヂオ・シチィちゅうもんか~!”などと観光客状態になってしまいます。
写真は五番街
更に街を探索すると、様々な楽器屋さんがあり、見た事もないヘンテコなギターやら、奇妙な形の民族楽器等が陳列してあるものですから、新しいモノ好きの東洋人は弾きたくてウズウズしてしまいます。
日本を離れて以来、楽器の練習もしておらず、昨日コンガを叩いただけですので、
“おっちゃん、弾かせて~や!”
なんて調子で強引に弾かせてもらうのですが、ニューヨークの楽器屋は刺激が一杯で堪りません!!
いつもは夜に行く事が多い42番街を我が物顔で闊歩し、怪し気な店へ飛び込んでは、“フムフム、ナルホド、なるほど・・・”と、ニューヨークの持つ街の魅力の一片に触れるのでした。
日中、いつも賑わっていたのが五番街。
五番街と言えばやっぱりこのイメージですね。高級ブランド店が軒を連ねるこの通りは、オシャレそのものです。
でも秋田生まれの貧相な東洋人には全く無縁の界隈でもありましたので、店に入る事はせずにヒューマン・ウォッチングを楽しむのでした。
さて、そうこうしているうちにお楽しみの無料コンサートが開かれる時間になって参りました。
会場である
マンハッタン音楽院は少し遠いところにありましたので、タクシーで行く事にしました。
会場へ到着すると、“いるわ、いるわ・・・”、既に沢山の人が席についています。
指定席ではないので先着早いもん勝ちで良い席に座れますので、我先に席をゲットします。
開演までは30分位前だったでしょうか、席に着いて明日以降の事をボンヤリ考えていました。
このボンヤリがいけなかったのでしょう、時差や連日の散策の疲れや毎晩のアルコールの飲み過ぎもあってウトウト眠ってしまいました。
当然、大きな歓声が上がって目が覚めたのはミュージシャンがステージ上に登場した後の事でした。
“オオ、イカン、イカン・・・!つい眠っちまったゼ!”と目を擦り、現実を認識して演奏を楽しもうとしたのですが、何だかステージ上のミュージシャンは若いのです。
“んッ?”と思い、入場の際に渡されたパンフレットを見てみると・・・、
今夜の演奏は2ステージ制になっていて、前半はマンハッタン音楽院の学生選抜による演奏となっていました。
“オヤ、学生さんの演奏かい?”と考えたのですが、実際に演奏が始まってみると、ナカナカの腕前です。
“お~、やるでね~か!”と感心しながら聴いてしまいました。
(後で知ったらこの
マンハッタン音楽院は非常に優秀な演奏家を輩出している名門校だったのです)
何組かのグループが入れ替わって第1ステージが終了しました。
その後、短い休憩を挟んでいよいよ2ステージ目が始まります。
現れたのは・・・、何と私の大尊敬するミュージシャン、
Dave Liebman(デイブ・リーブマン)ではありませんか!!
新聞にもパンフレットにも名前は載っていなく、ゲスト:Xとなっていただけに驚きました!!
このコルトレーン派を代表するサックス奏者の凄さは、私如き凡人が述べるまでもありません。
私は一時期(今でもか)理論派音楽に傾倒していた頃がありましたので、今は亡き故マイケル・ブレッカーと並んでデイブ・リーブマンは大ファンだったのです!
さて、偶然にも初めて彼の音を生で聴く機会に恵まれた私は、ワクワク&ドキドキしながらその瞬間を待っておりました。
“プォ~”と澄んだソプラノ・サックスの音色が会場に鳴り響きました。
目を瞑って一音一音確かめる様につないでインプロヴァイズしていきます。
静かに訥々と語りかけるような、幻想的とも言えるソロが続きます。
音が途切れた、と思ったら、ドラムスの鋭いクラッシュ・シンバルの音を合図にアンサンブルがスタートしました。
もの凄い速いテンポです!
にも拘らず一糸乱れぬユニゾンでテーマを奏で、各自のソロの応酬が続きます。
“ス、スゴ過ぎる・・・!”
1曲目からコルトレーン・ライクなフレーズを連発するリーブマンは顔を真っ赤にして、ソプラノからテナー・サックスに持ち替えてバリバリ吹きまくります。
“・・・・”
“・・・・・”
もう金縛り、放心、冷凍保存状態になってしまう東洋人でした。
デイブ・リーブマンのステージが終了し、1ステージで登場した学生さん達とのセッションが始まりましたが、デイブ・リーブマンの演奏に集中して聞き耳を立てていた私はとても疲れてしまい、迂闊にも放心状態のまま再度眠ってしまうのでした・・・。
“んッ!”気が付くと会場には殆ど聴衆は残っていませんでした。
そう、完璧に熟睡してしまったのです!
時計はもう23時近くになっていました。
“ワッ、ヤッベ~!”と思い、速攻会場を後にしましたが、生憎帰りの道を覚えていません。
タクシーでこのマンハッタン音楽院に向かった時も、ドライバーが場所を知らず右往左往しながら辿り着いたものですから、更に頭の中で地図が混乱しています。
タクシー・ステーションの場所も分かりません。
勿論外は真っ暗、誰一人歩いていません。
“ええィ、ままよッ!、なるようになるさ~!!”と一人深夜のニューヨーク、暗闇の中を秋田県人はブラブラとダウンタウンに向かって歩き出すのでした・・・。
次回に続く
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